『 寒くなってきたね。
  体、気をつけて 』




会社を出てすぐに掛かってきた電話。
優しい声と言葉に疲れが吹き飛ぶのを
感じながら、大丈夫だよ、と返せば
念を押してもう一度”気をつけて”と
言われてしまった。




・・・鼻声なの、バレたかな・・・




「 大丈夫だよ? 」


『 鼻声だよ、繭 』


「 うっ・・・ 」


『 熱、少しあるんじゃない? 』




ズズッ、と鼻を啜って
何でバレてるんだろう、と
今朝のことを思い出した。




いつもよりやけに重い体に
気ダルさを感じて久々に
体温を測ってみた。




──────────37.5度。




最悪だ、と思いながらも
会社を休むわけにもいかず
市販の風邪薬を飲んで来た。