ヴヴヴ、と再度手の中で
震えだす携帯を確認もせずに
通話ボタンを押して耳に押し当てる。




「 まだ何かあるの? 」




お母さん、と付け加えて
しばらく待ってみたものの
・・・・返事がない。




「 ・・・・え?なに・・・ 」




1人で戸惑いつつ、気付けば
もう部屋の前で、
鍵を開けて中に入る。




電気をつけて、
電話の向こうの”音”に
集中しながらソファにそっと
腰を下ろした。




『 ・・・・・っはは 』


「 ・・・・・ 」


『 ごめんごめん、出るのはやいから
  俺の電話待ってくれてるのかと
  思ったら・・・・ 』




”お母さん、って”