『 そういえば繭、帰ってきてたの? 』




暗い道を歩きながら
うん、と気のない返事をして
空を見上げた。




肩には鞄、手には写真。
空いた手で携帯を持って
耳に押し当てていた。




『 パスタだけ作りに来たの? 』


「 ん~ 」


『 ・・・酔ってるの? 』


「 いや、別に。飲んでないし 」




曖昧な返事ばかりしていたせいか
少し疑うようなその声に
へらっと笑ってみせる。




パスタ作って帰るなんて
・・・・我ながら不思議なことを・・・・




1週間前の自分が不思議で仕方ない。