「風紀を乱しているだと?俺にはどう見てもこの2人が乱しているようには見えない。風紀を乱しているのだとしたらそれはあんた達だ。この街にはいい人がいっぱいいる。でも例えばあんたみたいなのが1人でもいればそれは集団として現れる。集団になればこの街全体が同じ雰囲気だ。折角子供達が素直で綺麗な心で育っているのにその心をあんた達が穢れに染めている。俺はそういう風に見た。よく考えてもみろ。こんな姿をあんた達の子供が見たらどう思うか考えたことあるのか?俺は「ママ〜恐い」とか「パパの顔はなんでそんなに怒ってる顔してるの?」とか考えると思う。きっと俺が子供であってもそう思っているはすだ。あんた達はまず子供達を大事にしていると言えるのか。」


戸惑いを見せる顔や、俺の言葉が効いたのか考え込んでいる者もいた。俺は黙って立ち上がり水桜と水桜の母親を両肩に担ぎ輪の中を突き進む。隙間がないほどの人集りだったが自然と避け始め目の前には来るときに見た道が見えた。俺はそのまま2人を家へと運んだ。布団に寝かせると桶に水を汲み、タオルを濡らすと2人の汚れた顔をこすった。時折痛みを見せる姿に憤りを感じながらただ一言、「俺のせいでこんな目に遭ってごめんなさい。」そう思わずにはいられなかった。魘されている水桜の頭をそっと撫でると安心したのか体の力が抜けていくのが目にとれた。俺はそれを見ると俺が側にいても警戒などない事にただ嬉しく穏やかな表情に変わった。