その言葉を聞いた瞬間
それまでの笑顔が
嘘のように豹変する商人。

じろりと
カエンに一瞥をくれると
まるで何事も
なかったかのように
立ち去ろうとした。


「待てよ・・・
無視ってのはちょっと
失礼じゃないのか?」


予想の範囲内だったので
なんとか抑えるコトはできた。

しかしどう足掻いても
八方塞がりである。

お客様ならね、と
冷たく突き放すと
さらに足を速めていく。

やっぱり・・・ダメか。

諦めかけたその時
突然商人の足が止まる。


「チームディアブロのカエン
来る気があるなら
無言で着いてこい」


!?


見事にチーム名まで当てられ
その場で臨戦体勢をとる。


「そう構えるなよ
俺はアンタらのファンだぞ」


からからと笑いながら
またもや嘘のように
豹変する商人。

どっちが本当の彼なのか
二重、三重の嘘で
カエンはまともな思考が
出来なくなってしまった。

つかみどころのなさは
セイト以上である。


(・・・罠か?)


とりあえず
警戒心は解かぬまま
カエンは商人に
ついていくコトにした。