「水だぁ、キャッホー」
トードが服を脱ぎ出す。


「きゃッ!!」


「あッーーー」


ミストの存在を
半ば忘れかけていた
トードは、もう少しで
カエンに風穴を
開けられるところであった。


「おい、てめえら」


どうやら
既にいた先客を無視して
コントを繰り広げていた
ようだった。

しかも運の悪いコトに
魔族の率いる
チームであったので
次に発せられる言葉は
予想がついた。


「人間だよな、丁度いい
いきなり強制返還
してやるよ!!
まだ誰も帰ってない
みたいだし、てめえらが
脱落第一号だぜ」


そう言うなり
片手斧(ポールアックス)
をかざした魔族の男は
舌舐めずりをする。


「俺たちはサムイル
俺様、左魂が率いる
武闘派集団だ!!」


「ハゼル、あれ誰?」


トードが空気をぶち壊す。

「あれか?やられ役って
言うんだよ、トード君
俺たちの強さを
分かってもらうために
出てきた可哀想なキャラさ」


「ふざけるのも大概にしろ!!」


怒りに顔を赤くする
左魂をよそに
ふーん、と頷くトード。


「無無、お前が行け!!」


無無と呼ばれた魔族が
手に電気を溜めて
にやりと笑う。


「じゃあ、ボク行く」