「今年の大会はどうなんだ」

男が問う。
一寸の光もない暗闇の中
仮面を被った男と
金の鎧を着た男、
二人の男が談義していた。


「今年は優秀な生徒が
揃っていると聞きますよ」


聞かれた男は
笑いながらそう答える。


「ほら、あなたの
お子さんも出場
なさるのでしょう
優勝候補だとか・・・
早速派手にやった
みたいですね」


フン、と鼻を鳴らし
仮面の男は
冷徹に言い放つ。


「『あれ』はそんなに
優れたものではない
私の目的は別にあるのさ」


なるほどというように
頷く鎧の男。
どうやらこの二人
上級の部類の魔族らしい。

不意に扉が開き、
一人の魔族が入ってくる。


「失礼します
報告によりますと
総勢五人一組600チーム
今大会優勝候補は
ヒスイ率いるフェンリル
ホムラ率いるイフリート
タスク率いるトルーギス
ナビカ率いるグラコス
ラセン率いるデスサイズ
といったところですね
余談ですが
ヒスイ様と一揉めあった
チームがいるそうです」


資料を読み終えると
二人の放つ妖気に
耐えられなくなった魔族は
早足で部屋を出ていった。


「・・・さぁ
天界の介入によって
話がややこしく
なってきましたが
どうにか始められ
そうですね」


次々にワープしていく
各チームを見下ろし
二人はまったく違う思いを
胸に抱いていた・・・。