「時術の使い手か・・・
噂には聞いていましたが
こうして相まみえるとは」
ジハドを回収し
火焔を一瞥する。
「私たち大天使の中では
緋眼と戦ったコトがあるのは
第一天使ラファエル様だけ
話によると
文献はああ書いていますが
目を合わせなくても
見た場所の時間を操れるらしい
誠に厄介な目ですね」
魔力の波がまだ荒い
時術がくる時には
もっと整っていたところから
まだ撃たないと推測できる。
「・・・殺すよ」
「なんです?
聞こえませんが」
殺すよ、の前に
何か言ったような
気がしたのだが・・・
気のせいか?
そしてゆっくりと
火焔が顔を上げる。
聞こえた・・・
今度はハッキリと
耳に吸い込まれるようなその声に
背筋に冷たいものが走る
感覚を覚えた。
『睨み殺すよ』
気がつけばそこにいた
火焔の姿が無い。
いや、すでに懐に・・・
ザシュッ
刃物が皮膚を
切り裂く音が聞こえる。
いくら火焔が神速だからといって
ここまで速いワケがない。
やられたな・・・
時術をかけられたのか・・・
私の時は数秒間止まっていた。
その間に神速を生かして
懐に潜り込み
斬撃を打ち込む。
単純だが強力な作戦だ。
なんせ防ぎようがない。
「さて、そろそろ追うか
コイツ相手も飽きたし
呼吸を時間停止させても
面白そうだな」
なっ!?
自我があるのか!!!
マズイ、マズイぞ
早く逃げてくれ、トード
火焔の狙いは・・・
君かもしれない

