†魔界戦記†



傷だらけのルシファーに
肩を貸しながら
僕たちはすぐさま後退を始めた。

ミカエルをその場に残して・・・


「心配するな
あいつはアレでも大天使だ
【緋眼】とも対等に戦える」


緋色の目と書いて緋眼。

あれがジハドを止めた
術の正体なのか?


「ここらでいいか・・・
さて、何から話そう」


聞きたいコトは
僕の中ではすでに
決まっていた。


「時術って・・・なんなの?」


辺りに緊張が走り
空気が張りつめる。


「二大真術の一つさ」


不思議だった

時術なんで学校でですら
聞いたコトがない。

術の数は全てで六つ

魔術、掟術、幻術、心術、創術
そして・・・空術


「魔界でも天界でも
知っているのは上層部の
ごく僅かな奴らだけだ
人間なんて知らなくて当然なのさ

・・・よく聞けよ」


時術とは術であって
術ではないもの

他の六つの術のように
多彩な使い方が
出来るものではない。

時術とは
術者の両目に宿るもの

大抵が発現しても
その膨大な魔力の消費量に
時を待たず死んでゆく。

時術とは
瞳のコトである。


『魔界戦記』抜粋


「これが文献に載っていた
いわゆる時術の説明だな」


長い説明を終えて
一息つくルシファー。

でもホントにおかしな話だね

僕たち一つしか
術が使えなかったのに

そんなスゴい才能が
あったなんて・・・

僕はできすぎてるけど
カエンは当然だと思ったよ

初めて会った時から
君は何か使命を持って
生まれてきたって
僕にはわかってた・・・。