†魔界戦記†



見ていられない
僕は咄嗟に目を閉じた。

巻き起こる爆炎
鳴り響く轟音

そんな惨状を想像し
僕は火焔を助けられない
悔しさに泣いた。


「・・・あれ?」


爆炎は・・・ない?
轟音も・・・もちろんない。

【ジハド】は撃つ直前で
その時を止めていた。


「貴様・・・それは・・・
あの時感じた
取り残されるような
違和感の正体は・・・

それだったのか・・・
火焔!!」


遠目からでもハッキリとわかる。

今の火焔の二つの瞳は

まるで燃え上がる炎のように
綺麗な緋色を帯びていた。


「トード、ここは危ない!!
早く逃げるんだ!!!」


一瞬過ぎて何が何だか
僕には全くわからなかった。

ただわかるのは
あの目は尋常じゃない。


「あんなの・・・
カエンじゃない」


「ううぅ・・・
生きてる内に時術を
拝めるなんてな」


僕の腕の中で
ルシファーが目覚める。


「トード、アイツの言う通りだ
お前は今スグ逃げろ」


「なんで・・・僕は
カエンを止めるために」


「もうそんな事態じゃねぇ!!」


ルシファーのあまりの剣幕に
僕は思わず畏縮して
途中で言葉を切った。


「いいか、お前の空術は
二大真術って言われてる
全ての術のルーツたる術だ

だが、なぜ空術だけなのに
二大真術と呼ばれるのか?

なぜ六つしか術はないのに
型が七式と呼ばれるのか?

それを今から、お前に教えよう」