「やめてよぅ」


左足に重みを感じ
俺は少し振り返る。

そこにいたのは
真術の使い手・トードであった。


(空術なら、火焔を
止められ・・・)


いや、無理だ。

心優しいトードに
火焔を攻撃するコトなんて
出来るワケがない。

俺達が攻撃するのですら
止めてくるほどである。


「トード・・・安心しろ
ちょっと気絶させるだけだ
ミカエルにはやらせない。

任せてくれ」


俺も、丸くなったな。

魔界に調査に来た時は
四六時中ピリピリしてた。

なんで熾天使の俺が
こんな辺境の地で
餓鬼のお守りをしなきゃ
ならないんだってな。


子供たちといた日々が
戦いから遠く平和な日々が

俺を少しだけ変えたのか


カエン・・・ありがとな。


変われたのは環境のおかげ

救われたのはお前のおかげだ。


神の下から去ったからか
今は最高に自由な気分だ。


「一緒に魔界へ行くぞォォ!!」


長刀の背で火焔の腹に
一撃をおみまいする。


ミカエルは後方で
【ジハド】を撃つ
魔力を溜めている。

俺が時間を稼ぐしかない。

二撃、三撃、次々と
打ち込んでいく。


・・・しかし