「あたし達との試合は
どうなったのよ!?」


ナビカが非難の声を浴びせるが
そんなコト気にも止めないクルーゼ


「ねぇ、聞いてるの!?」


「黙れ!!
とって喰っちまうぞ」


さすが上級魔族ともいえる
その威圧感には
ナビカですら反論できなかった。


「俺達としては
欲しかった人材だしな
喜んで承諾したんだが・・・」


ちらっと気まずそうに
横に目をやるクルーゼ

トードはうつむいていて
何も言おうとはしなかった。


「あいつらは二人で
ナタデ山を越えるらしい
そこから先は完全な魔界
神の影響の及ばない地域だ

お前等ならワケを
聞けるかも知れない
あわよくば
止められるかも知れない

試合のコトは俺に任せろ
ほら、いってこい!!」


そう言って二人の背中を押すと
審判員たちに抗議しにいった。


「急いでくださいよぅ
ミストさんは先に行きましたよ
さぁ、こっちです」


二人目の司会者
ベルゼブルが道案内を担当する。


「ありがとうございます」


「ハゼル!!」


前を向くと
グラドリエルたちも
異変を聞いてすでに
駆けつけていたようだった。

・・・が

グラドリエルの体には
無数の切り傷が付いており
立っているのも
ツラそうな状態だった。


「グラドリエル
どうして・・・?」


「俺はルシファーとは
小さな頃からの付き合いだが
アイツの考えが全く読めなかった

友の一大事にも
助けてやれないとは・・・
おかげでこのザマさ」


見るに耐えない
その姿と微かな涙に
同情しなかった者は
いなかったであろう。


「ミカエルが
いないみたいだけど・・・」


思い出したようにハゼルが言う。


はっとしたように
ハゼルの肩を掴むと
少し興奮気味に
グラドリエルは告げる。


「大天使様はカエン達を
追討に向かっているんだ
だから、ハゼル!!
お前達が助けに行くんだ」