「高校生くんの家に泊めてくれるんじゃないの?」
「そんなわけないでしょ」
「え、ケチ」
「ケチで結構です」
……やっぱり、公園なんか来るべきじゃなかったな…。
面倒なことになるってわかってたはずなのに、なんで来ちゃったんだろう…。
「ねぇ高校生くん、キミの名前は?」
「…朔也」
「おー、見た目にピッタリな名前」
…なんだそりゃ。
「…あー…それで、あなたのお名前は?」
「え、さっき免許証見せたじゃん」
「写真と生年月日しか見てない」
「えー?普通名前見るっしょー。
まぁいいや、もう一回見せてあげる」
スッと差し出された免許証。
名前は…、 笠井 真子(カサイ マコ)。
「…笠井…」
「何、元カノと同じ苗字とか?」
「…いや、ダチが笠井。
アンタみたいにすげー変な奴」
「こらこら、私のどこが変だってのよ?」
「全部」
なんて即答したら、笠井さんがパシッと頭を叩いてきた。
「私は変なんじゃなくて個性的なの!」
「…どっこいどっこい」
「なんだとコラ。おねーさんに謝りなさい」
「…どう見ても中学生」
……なんてやり取りを繰り返しながら、俺たちは食事を進めた。
そして、食べ終わってすぐ。
「ねぇ朔也。 やっぱり今日泊めてくれない?」
…また彼女がおかしなことを言い始めた。



