……。
マコの手を掴みながら、ただただ歩き続ける。
「…朔也」
「はい」
「…これからどうするの?」
「とりあえずは警察に行こうかな、と」
「……交番はこっち」
マコが俺の手から離れ、一人で歩き出す。
その後ろ姿を少しだけ見つめ、俺も後に続く。
……。
その後、俺たちは交番で事情を説明し、警官がすぐにアパートへと向かってくれた。
……元彼氏は、マコの部屋で普通にくつろいでいたらしい。
その時に「俺は彼氏だ」と主張したし、合鍵は「彼女から貰った」とも言った。
それに対するマコは、「彼は元恋人」と言い、鍵については 「“いつでも来ていいよ”と渡したのは自分」だと話した。
「今まで彼が来たことは無く、これからも来ることはないと思っていたからそのままにしていた」と、淡々と話していた。
…結局、部屋が荒らされていたり何かが無くなっていたり、ということは無く、
不法侵入ではあったけれど「鍵を渡したのはマコ」だから、「恋人とのもつれ」ということで収束した。



