…無視しよう。

何も聞かなかったことにしよう。




「ちょっと朔也!なーんで返事しないわけ?」

「………」


…がっしりと腕を掴まれ、無理矢理に体が止まる。


「私よ、わたし!」


…声聞いた瞬間からわかってましたけど?




「…何か用ですか笠井さ、ん…?」


…あれ?


「えへへ、驚いた?」

「………」


…振り返った先に居たのは、中学生な彼女じゃなくて…、メイクアップした大人っぽい彼女だった。


「どーぉ?変わるもんでしょー」

「…詐欺だ」


「うわ酷い! もっとこう、“綺麗だねー”とか言えないわけ?」


……詐欺以外の何でもないだろ…。




「まぁいいや。 せっかく会ったんだからお茶しようよ」

「…いや、今から帰るところ…」

「いいからいいから! 私が奢ってあげる!」


…と、また無理矢理に連れられていく。




「………」


…そして着いたのが、公園の一角にあるベンチ。

渡されたのは、ペットボトルのお茶…。


「…なんですかこれ」

「何って、お茶に決まってんじゃーん。
青空の下で飲むお茶は最高だねー」


……はぁ…。

これ飲んだら、早く帰ろう…。




「何かお菓子が欲しいねー」


♪〜♪〜♪〜


「あ、ケーキとかでもいいなぁ」

「………」


♪〜♪〜♪〜


「朔也、コンビニで何か買ってきてよー」


♪〜♪〜♪〜


「お金は私が出すからさ!」

「…あの、」

「ん? なーに?」


♪〜♪〜♪〜




「…携帯、ずっと鳴ってますけど…」