【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐



「私さぁ、朔也のこと好きになっちゃった。
だから、泊めて?」

「………」


…いつもこうやって男を落としてるんだろうな…。なんて思いながらため息をつく。


「俺はあなたのこと好きじゃないです」

「えー? 私は胸がドキドキしておかしくなっちゃいそうなのに」

「じゃあ病院でも行きましょうか」

「……チッ」


…舌打ち聞こえまくってるし。




「…あーぁ、つまんない男。
もう公園で野宿するからいいよーだ。
何かあったら朔也のせいだからね?」

「…自分の家に帰ればいいじゃないですか」

「遠いから無理」


「…どこから来たんですか」


そう聞いた時、笠井さんはにっこり笑って空を見た。




「私ねー、実は別の星から来たの!!
しかもその星のプリンセス!! 皆のものー控えおろー!!」


………。

…やっぱ、変な人だ。




「…ゴホン。まぁとにかくね、家はすごーく遠くにあるわけ。
だから今日はもう帰れないの」

「…どうせただの家出だろ?」

「あはは、秘密」


秘密、って…そのでっかいリュックを見れば誰だってわかるだろうけどね…。




「あ、朔也ん家がダメならさぁ、さっき言ってた“笠井”って子の家はダメ?」

「…無理です」

「本人に聞いてみなきゃわかんないじゃん!!
今からそこに行くんでしょ? なら私も連れてってよー」


…いや、聞かなくても普通は無理だろ。
何考えてんだこの人…。




「よし、それじゃ出発!!」

「いや、だから…」

「本人に聞いてダメだったらすぐ出てくから。
ね、だからお願い!!」




……と言うことで。


笠井さんにがっしりと腕を掴まれたまま、龍輝のマンションへと戻った。