「 ───────キス、思い出した? 」 ボソッ、と本当に小さい声が 私の耳元で響いて、 ノートを両手で抱えた私は ”そんなことないです”と 意地悪に歪む口元から顔を背けた。 みんなの前なのに、 何をしてるんだ、と 頬を膨らませながらも 普段とは比べ物にならないくらい 心臓がドキドキ言っていることを 少しだけ、悔しく思った。