「 本、読みたくなったら いつでも来い 」 その一言と、先生の柔らかい表情に 頷きながら鍵をポケットに入れた。 先生はきっと、あの時 私に気付いてなかっただろうけど、 「 じゃあ、帰りますね 」 「 気をつけて帰れよ 」 ”あの時からずっと先生が 好きだった”なんて 喉まで出かかった言葉を 飲み込んで、代わりに ”さようなら”を言って 私は書庫から出て、 玄関へ足を向けた。