「 ・・・澪、着いた 」




あれから、少しして家を出て
不安を吹き飛ばすように
私は車の中で話し続けて、




「 あ・・・私、寝て・・・? 」


「 歯軋りしてた 」


「 え!?!!? 」




ぼーっとする視界の中に
先生の顔がアップで映って
いつの間にか倒されてたシートを
先生は起こしながら笑っていた。




恥ずかしさに言葉が出なくて
ああ、もう、と眉を寄せれば
押し殺すような笑い声が聞こえて
顔を上げた途端頭を乱暴に撫でられた。




「 嘘。死んだかと思うくらい
  静かに寝てたから安心しろ 」




グリグリと撫で回されて
ホッとしたところで、
先生は私を抱き上げて
車から降ろした。




「 お前には緊張感がないよな 」


「 ・・・・緊張してますよ? 」




”これでも”とムッとした私を見て
目を細めた先生が”悪い”と
悪びれなく言うから、もっと
顔を歪めて見せた。