「 話を聞いたあとに澪が泣いて
  俺と離れたいって言っても
  俺は離すつもりなんかない 」




伏せた目から涙が零れてくるかと思った。
それくらい悲しそうで、揺れていて
抱きしめる腕の力を強くして、
小さく頷いてみせた。




「 ・・・・澪 」




掠れた声に名前を呼ばれて
泣くのを我慢していた私の
頬に手が添えられる。




真夏だっていうのに肌寒いほど
よく冷房のきいた室内で
これでもかってくらいに密着して




「 ───────────俺を、信じて 」




夏の暑さなんて感じない。




心地良い体温に包まれて
安心して、涙を零していた。




「 ・・・っていうか、信じろ 」




気付けば、不安そうな先生は消えて
いつも通り無駄に自信過剰な人に
戻っていた。