「 ・・・な、なおっ 」
「 なに、緊張してんの? 」
ポケットから鍵を取り出した
腕を掴んで引っ張れば
可愛いな、なんて笑われて
「 今は誰もいないし、
”その時”はちゃんと言うから 」
大丈夫、だと頭を撫でる
先生の手に少しだけホッとして
だけどやっぱり”実家”だと
言うだけで緊張してしまう。
そんな私を見て再度小さく笑いを
零しながら、先生は玄関のドアを開けた。
────────────ガチャッ
「 わっ!びっくりしたぁ 」
バンッ、と音をたてて閉まったドアに
背を向けて、先生は私の手を掴んだまま
車の方へと歩き出した。
一瞬、・・・本当に一瞬見えたのは
マグカップを片手に持った
すごくすごく可愛い女の子。
女の子らしく長い髪を後ろで束ねて
いわゆる”ポニーテール”をした
その子は、驚いた顔で先生を見ていた。

