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「圭… 圭なの?」
涙がツーっと
ほっぺを流れ落ちてゆく。
一筋…二筋…三筋…
どんどん…どんどん…
「圭…」
私は知らないうちに
圭くんに似た人に抱きついていた。
圭くんと似た人は
優しく抱きしめ返してくれた。
授業5分前のチャイムがなる。
それで我にかえった。
そうだよね。
圭じゃないよ。
嶺くんだよ。
全然違うじゃん。
性格も顔も…
今度こそ
逃げなきゃ…
恥ずかしいし…
「おいっ‼」
嶺くんが
私の腕を掴む。
「離してっ‼」
「やだ…」
え…
「お前そんな顔で教室行くのか?」
そのことすっかり忘れていた。
そうだ。
でも、今はそんなことは
もはやどうでもいい。
とにかく立ち去らなきゃ。
