だというのに。

「はぁ…」

当の七星本人は浮かない顔。

いや、浮かないのは顔ではなく体である。

大抵のスポーツはそつなくこなす運動神経の持ち主である七星だが、水泳だけは苦手である。

別に水恐怖症とかいうのではないのだが。

林間学校の時も鉄砲水に流されて、随分と怖い思いをした。

「きちんと水着持ってきたぁ?えぐいヒモビキニだよねぇ?」

七星の鞄を横取りして中を確認するスペシャルハレンチ。

「そんなの持ってきてません!普通のスクール水着ですっ!」

素早く鞄を奪い返す七星。

この時既に、スペシャルハレンチの陰謀に巻き込まれてしまっている事に、七星は気付いていない…。