君に一番近い空

【美咲】

ついにあの人が来た。

何だか心臓が妙に騒がしい。

こんなの久しぶりだ。

何でだろう。

この人を見たことあるような…

そして私は大切な『何か』を
忘れている気がする。

「は、初めまして。」

私はどもりながら挨拶する。

「初めまして。写真拾ってくれて
ありがとうございました。」

彼の声を聞いた瞬間、私は忘れていた
『何か』を思い出してしまった。

そして思わず口にしていた。

「あなたの弟さんが亡くなった
あの場所に私、いました。」

と…。