『若恋』若恋編





榊に髪を結い直してもらい、下駄と巾着を持ち嬉しそうにはしゃぐ。


「早く行こう!」



りおに引っ張られて榊、仁と一緒に家を出た。

花火大会の会場まで車で移動して、出店回りをする。

こう言う場面では俺の顔を知ってる奴らも多い。




「大神組の若様だよ」

「隣にいるのは右腕の榊だな」

「左隣にいるのは鬼神の仁だろ?」

「じゃあ、若様の前を歩いてるのが例の?」

「ああ、夜のお遊びもやめて溺愛してるって噂の?」



ヒソヒソ。


ギロッ

余計なことを一言でも言ってみろ。ぶち殺す。



「あの娘に手を出したら、」

「間違いなく明日の朝にはおまえの遺体が湾岸に浮かんでるだろうよ」

「おお、こわっ!」




遠巻きに俺を見る奴ら。

そして頭を下げる男ら。



「若様、今日は何か」

「構わねえでくんねえか?今日は仕事で来てるんじゃねえからな」