『若恋』若恋編





仁がとっくに気づいてる。
榊も。前広も毅も。

一也も拓也も。





「若の恋敵か」

「え?」

「いや、なんでもねえよ」

「え?なに?」

「りおさんにはわかんねえ話だよ。バカな男の話だ」


ますますりおの頭の中にクエスチョンマークが浮かんでる。





「若、前途多難だな」





仁が揶揄して笑った。


なぜかその目には翳りを帯びていた。







まだ誰も気づかない。


「運命」の二文字を。