「若!こちらへ」

榊と前広が先になり走り出す。

走り出した先には本屋の前の歩道の隅で本を読んでいる女子高校生がいた。

乗り上げて動けなくなった車から降りてきた俺たちを驚きの目で見ている。


「電器店の裏から抜けましょう」

「ああ」

「若!前に!」


先回りされて追ってきた一台から鉄パイプを持ったチンピラがふたり。

本屋隣の電器店裏口から抜けようと思ったが、ここで銃撃戦はまずい。



「引き返しましょう」

後ろを振り向いて引き返す先を見る。

そこには同じく歩道に乗り上げた派手な車が。


「いたぞ!」

次々に走り寄ってくる奴ら。


「大神を殺りゃ金になるからな」

ひとりだけ銃を持ちせせら笑っている男には見覚えがある。


「若、挟まれましたね」

「どうします?」

「仕方ねえな。最期まで暴れてやるさ」


ギリと歯を噛み締めた。