垣間見えた窓から見知った顔が覗いた。


「……龍神会」


三年前から燻ってる火種だ。

大神組の俺を潰そうとしてもおかしくない。

今度は左に車を寄せてくる。

浅黒く焼けた顔を窓ガラスから出して笑いながら銃口を下に向けた。


「足を狙ってます!」


バァン

二度、三度と火を吹いた後、

ガクン

車体が斜めに傾き車のホイルがガサガサと耳障りな音を立てた。


防弾仕様だと知ってやがる。
足を狙ってきやがった。
タイヤが裂けたか。



「そのまま右へ!」


榊が指示して対向車の波を縫い右へと曲がった。


スポーツ用品店、電器店、本屋が並んでいる歩道に乗り上げた。



「若、大丈夫ですか?ケガはありませんか?」

「いや、たいしたことねぇ。ここは……まずいな」


「若!奴らが来ます!」


歩道に乗り上げた車はタイヤが破られている。
簡単には破けたりしないのだが…