余裕で構えているように見えてた成田だったが、女が拐われて気が気でないはずはねえ。
車から飛び降りると仁たちの乗った車を待たずに正面から突き進んだ。
「てめえ、何者だ?」
「うるせえな、どけ!」
行く手を阻むなら容赦しねえ。
拳を出してくる若い男の腕を捻り上げた。
「成田、先に行け」
奥には成田の女がいる。
足を踏み出した所で奥の方から怒声が聞こえた。
『ふざけんな、開けろ!』
『や、来ないで!』
扉を蹴り飛ばす音。
何かガラスが割れる音。
成田の顔色が変わり、一気に押し寄せる男たちに咆哮を上げた。
「どけっ!」
「榊」
「若、わかってます」
成田に道を作り囚われた女を助け出す!
体を反転させて肘鉄を食らわせて足を薙ぎ払い、ひとりふたりと床に転がしていく。
「行け、成田」