りおの両親が自宅へ戻っている間に変わったことがないかとすぐ傍で様子を見ている俺には気づかない。
りおが成田の女と30分ほど話をするのを聞くとはなしに聞いていた。
また足音をさせないようにして、「また、明日の夜来るね」そう言って部屋を出ていった。
りおが再び眠りにつき、次第に夜が明けていく空を廊下に出て眺めた。
「今夜は来ない、か」
来るならば今夜かと思ったが龍神会の連中は姿を現さなかった。
タバコに火を点け深い息を吐き出した。
煙が揺れて風に消える。
「奏、おまえ少し横になった方がいいぞ。彼女の様子が急変したら教えるからよ」
「成田、」
「もう二晩寝てねぇだろう?榊も仁も心配してたぞ。飯も食わねえってな」
並んで、成田も胸からタバコを取り出した。
俺の火を分けてやる。
「成田、あの娘はおまえのなんなんだ?」
「は?」
成田が一瞬固まった。



