―――りお
昨夜、りおが痛みと熱に苦しみ、そばにいた俺も一睡も出来なかった。
傍にいた榊も同様で、夜が明けてから屋敷に戻った。
仁と交代で俺の護衛につく。
「龍神会が嗅ぎ付けたんだってな」
「ああ、そうらしい」
「で。狙われたお嬢ちゃんを屋敷に連れ帰ることにしたんだってな。榊から聞いたぞ」
目の前にいる横柄な態度の仁が成田の椅子にふんぞり返り口の端を上げた。
「仁、奴らはここを襲撃すると思うか?」
「んー。俺だったらやるな。敵対する大神に一泡吹かせてやれるんだ。ダメで元々。退路確保しとけば命までなくすこともねえだろ
」
「仁の野性的勘は鋭いからな。やっぱ来るか?」
「さあな。俺だったらお嬢ちゃんを拐いに来るってことだけだ」
「……そっか」
来るか。
来ないでくれればそれでいいが五分五分の割合で来るかもしれねえな。



