聞きたくない。
榊の言うことが正論だと知ってるだけに聞きたくない。
耳を塞ぎたい。
「若がりおさんに関わるのはやめた方がいいんです」
「………」
「考えてください」
「………」
彼女にとって一番何がいいのかなんてはじめからわかってる。
榊や成田の言う通りに、転院させて治療すればいい。何かあった時のために一也か拓也を護衛につければいい。
大神組の俺とは関係ないと態度でわからせればいい。
それでりおの安全は保証されるだろう。
俺の女じゃないと誤解が解ければ狙われないはずだ。
奴らが普通の頭を持ってる相手なら。
わかってる。
けれど、ああいう輩には無理だ。理解なんてできない。
「屋敷には連れて帰る」
「若!」
「静かにしろ。りおの傷に響く」
声を荒げた榊を制すると鋭い視線を投げ返した。
「俺が面倒をみる」



