『若恋』若恋編






りおが泣いて眠りについた夜。

寝室を抜け出して、榊の部屋を訪ねた。


「若、」

「いい、そのままで」


いつもきれいに片付けられていた部屋は珍しく散らかっていた。

ふかふかのソファーの上にはぐしゃぐしゃになったブランケット。

洒落たテーブルの上にはいつ飲んだかわからないワインのビンとグラス。

床には千切られた写真と女物のハンカチ。

割れたグラスの破片と、―――血だまり




「―――榊、その血は」


目を反らした榊をじっと見つめた。


「ひかるのことだ」


床に散らばった鮮血。
榊の手のひらに刺さったグラス。

榊が手にしたグラスを握り潰した時に砕けたガラスで傷ついた。

グラスを握り潰したのは、さっきのことが原因だと榊の表情からわかった。