「榊さんのわからず屋」 「りおさん」 「ひかるの気持ちをまるでわかってない。もういい!」 半泣きしながらりおが立ち上がって顔をぐいと拭った。 「榊さん、ひかるにもう近づかないで。ひかるにはうまく言うから、だからもうひかるには近づかないで」 ベソを掻きながらりおが一階のテラスから小走りに駆けていく。 ひかるにはもう近づかないで。 そう告げられた榊はくちびるを噛んでその場に立ちすくんだ―――