「そんなことない。榊さんはみんなを守れる力があるんだよ。ひかるを守るのだってわけないはずだよ」
「いえ、守れなかったんです」
「どういう、こと?」
何も知らせてないりおに、諦めたように振り返った榊はひどく傷ついた顔をした。
二週間ほど前に起きたひかる誘拐事件を話すと、りおの顔色がなくなった。
「奏さんが仕事だって明け方に帰って来た夜にそんなことがあったの…」
ひかるの命が危険にさらされたことにショックを受けていた。
りおにはいつかは言おうと思っていたことだった。
「幸い、発見も早かったので大事には至りませんでしたが、ひかるちゃんを傷つけたのはわたしなんです」
「ひかるは榊さんから傷つけられたなんて思ってないよ?」
「それでも、わたしに関わってる限りまたいつか狙われます」



