グラスが割れて赤い絨毯に散乱し、その上を乱れた手負いの獣が転げ回る。
グラスの破片が猛獣の服を切り刻み触れたものすべてを血で赤くしていく。
前広、一也、拓也、そして毅が転げ回る森内の首を取り押さえた。
床に押さえつけられた森内の歪んだ顔が、その濁った瞳が少し離れたところにいたりおをギッと睨み据えた。
「おまえさえいなかったら!」
押さえつけられ腹の底から絶叫する猛獣。
「俺の娘は若頭の玩具じゃない!!」
―――え?
遠くで見つめるりおが息を飲み、手負いの獣から目が離れ俺を見た。
「……奏さん」
強い意思でりおの瞳を見つめ返す。
りおは過去を気にしないと言った。
俺の過去は隠すことなどできないほどボロボロだった。
だが、同意のない抱き方はしねえ。
「玩具になどしてねえ」
無理強いして女を連れ込んだこともねえ。



