応接室を出て、彼女が眠ってる部屋に両親と共に入った。
左腕のギブス固定。
右手の分厚い包帯。
泣き腫らした目。
痛いと紡いだくちびる。
「―――りお」
ふたりが傍らに立ちそっと話掛ける。
いつも通り元気に学校へ送り出した時にはこんな姿になろうとは誰が想像できただろう?
「りお」
「大丈夫、ちゃんとここにいるからね」
微かに彼女の瞼が動いた。
成田を見ると、「そろそろ痛み出してくる頃だ」と、痛ましげに首を振った。
「りお。大丈夫?」
目は開かないが、薄く乾いたくちびるからは浅くて速い吐息が漏れた。
熱を持ってきてるのがわかる。
苦しげに息を吐き痛みが押し寄せてきているのがわかる。
「りお、大丈夫だからね。何も心配しないで。お母さんちゃんとここにいるから」
「……う、ん」
掠れた小さな声が、苦しげに息を吐き出す下から聞こえた。



