「奏、気苦労が絶えねえな」

「ああ、まったくだ」

「まあ、そこがいいんだろうがな」

「ああ」


肩を叩かれ、仁が諦めろと諭した。

だが、無茶ぶりをこのまま見過ごすわけにはいかない。


「仁、頼む」

「ああ、わかってる」

「高性能カメラをりおには知られねえように控え室に設置しろ。あと、集音マイク。念のため、隣の部屋にもつけろ」


彼女たちと話をするなら絶対に自分のところで話すだろうと予想していた。


「仁、いざという時は踏み込むぞ。モニターは俺の控え室に」

「GPSに、超小型受信機に、あと必要なものは―――」


ふたりで顔を見合わせて表情を引き締めた。