心配する榊に大丈夫だと告げる。
「行ってくる」
「若、」
「大丈夫だ。行くぞ。成田」
榊に背中を見送られ成田を連れて二階へ上がった。
奥の重い扉を開けると、彼女によく似た女性と紳士的な物腰の男性がソファーから立ち上がった。
丁寧にお辞儀をしてソファーに腰かける。
俺も成田と一緒に頭を下げた。
「天宮さん、申し訳ありません。娘さん……りおさんにケガを負わせてしまいました」
「!」
彼女の両親には電話で榊がある程度の話をしてくれていたが、戸惑い大きく息を飲む音が聞こえた。
「……電話ではよく事情が飲み込めず……うちの娘がケガをして運ばれたのがここの病院だと聞いてきたのですが」
彼女によく似た面差しに不安そうな色が浮かぶと、成田が頷いた。
「わたしはここの医師の成田です」
「……お医者さまですか」
ホッとしたような声だった。
「あの、……娘のりおの様子は?」
「りおさんは今しがた手術を終えました」



