擦り寄ってくる婦人は、過去に夜の相手した者たちだ。


「奏さま、ご結婚おめでとうございます」

にこやかな口元で祝いを告げ、その口で耳元に毒を吐く。

とてもりおには聞かせられない言葉だ。
適当にあしらい、大神一族の力関係を誇示していく。


親父に挨拶し、兄たちに挨拶し、俺のところに流れてくる取引先のジジイに組の幹部たち。


ん?

ここにいるはずのない姿を見つけ、走り寄ってきたりおを抱き止めた。


「どうした?りお?」


青い顔で震えてる。
何があった?