彼女とは住む世界が違う。
「諦めるんだな」
諦める?
誰が誰を?
「彼女にケガをさせちまったのは俺だ。面倒は俺がみる」
「奏、おまえ、……もしかして屋敷にその娘を連れて帰る気か」
「いけねえか?」
「奏、おまえな」
手術室から隣の部屋に彼女と共に移動してドアを閉めようとした時、榊が外の気配を気にかけていたことに気づいた。
「どうした、榊?」
「なんでもありません。どうやら気のせいのようです」
榊もすぐに部屋に入ってきて慎重にドアを閉めた。
「跡をつけられたか?」
「それはないと思いますが一応念のため」
榊は常に冷静だ。
跡をつけられてないかをチェックしている。
つけられてはいなかったと言うが安心はできない。
「前広に見張らせろ」
「そうですね」
万が一と言うことがある。
ここを襲われるとまずい。



