「聞いてる」
「あのね、下着を買う他にもブラブラってショッピングしたいなーって」
顔を上げて目が泳ぎそうになるりおをじっと見つめた。
「―――わかった」
「うそ。ホント?ありがとう奏さん!」
ばあっと顔を輝かせたりおを見て新聞を横に置いた。
「すぐ帰ってこいよ」
「うん、」
「仁を護衛につけるか?」
「えっ…」
りおが言葉に詰まり体が硬直した。
「えっと、すぐそこだから。わたしひとりで買い物してくるから」
「ひとりで大丈夫か?」
「うん、わたしは大丈夫だから」
ね?
ソファーに座っている俺の背中に回り、りおが腕をまわして抱き締める。
「今日の夕御飯は奏さんの好きなものをいっぱい作るからね」
ギュッ
俺の好物を夕御飯にするとりおが笑った。
「奏さんが仕事から戻ってくるまでにはたくさん作って待ってるからね」
「ああ―――楽しみだな」
安堵したような笑みを浮かべたりおを見逃さなかった。