彼女の頭を撫でて落ち着かせる。
「もうひとりの医師も来るし、何も心配はいらない」
「は、い」
信じて顔を上げた彼女のすべてを成田に託す。
彼女の指も腕も。
「―――俺が代わってやれたら……」
彼女の傍にひざまづいて全身を包み込むようにそっと背中に触れた。
「あんたがこんなに苦しがってるのに俺は何もできないんだ」
背中を包む。
「代わってやれたらいいのに…」
胸の痛みの理由を。
知らなかった感情を。
誰かが大事だと思えたせつなさを。
発した言葉で唐突に知った。
「―――俺は」
それ以上言葉にすることは許されず、
静かに目を伏せた。
―――俺は