『若恋』若恋編





濡れ羽色した髪から花の香りがする。


「りお、部屋に戻るぞ」


そのまま、横抱きに檜の足湯から出て部屋へ戻った。



「いたか?」

「ああ、いた」


部屋の前には酔いが覚めた仁と毅が立っていた。


「ならいいか。俺たちはラウンジで飲み直す」


りおが腕の中にいるのを見てホッとした仁が俺の肩を叩いた。



「離すなよ。こいつは俺たちの思うように動く人形じゃねえからな」

「ああ」

「糸の切れた凧と同じだからな。しっかり掴まえとかねぇとよ」

仁が笑うとりおが頬を膨らまし、
「足湯に行ってきますって書き置きしたのに」
と、不満そうに仁を睨んだ。


「バカヤロ。そんな書き置きなんて目に入るか!おまえを探しに若が駆け回ってたんだぞ!」

「え?」

「だから、館内を探し回って!」

「え?」

「なんだ?りお知らなかったのか?」