「……若、」
「ああ」
一気に力が抜けた。
「若、人騒がせだぜ」
仁も毅も崩れるように畳に座り込んだ。
居場所がわかったと肩から力が抜けた。
「しかし。若、もう日は沈んで薄暗くなってきてますから」
「迎えに、」
「ああ。行ってくる。湯冷めしても大変だからな」
力が抜けた膝に力を入れて立ち上がり、夕日が見える足湯という場所を仲居から聞き出して向かった。
貸し切り露天風呂があるすぐ隣に檜で作った大きな足湯があると言う。
夕日が沈むのを見ながら足湯を楽しめると評判だと聞いた。
「―――りお」
確かにりおはいた。
檜の足湯に膝から下を湯につけて、檜の背もたれに寄りかかったまま夕日が沈んだであろう方向を眺めていた。
眺めていた。は、間違いだろう。
何も瞳に映していない。



