右手小指が第一関節から千切れ皮一枚でかろうじて繋がっている。
乳白色の小さな骨が見え、血が滴り落ちた。
「………」
そのまま縫合しても筋がどうか…
鋭利なもので切られたならば腐らずにくっつくが、組織が潰れてしまってるならヤバイだろう。
最悪腐り落ちる。
成田が指全体をゆっくり時間をかけて診た。
「指自体は潰れてないし多分くっつくと思う。…もしもくっつかなかったらその時は、」
その時は?
「その時はどうなる?」
「腐った部分を切り落とす。切断する」
―――切断!
静かだが医者としての残酷な告白に、ぐらり。
世界が揺れて、一瞬息ができなくなった。
「……切断、…っ、」
か細い声で言い彼女が震える。
切断。
彼女の指を切断……
俺を庇ってケガをさせて切断……
ズキン
得体の知れない心臓を貫く痛みが走った。
「なんてな。俺を誰だと思ってんだよ。俺はブラックジャックだぜ、任せとけ」



