『若恋』若恋編





昼頃に水族館を出て、地元の運転手が奨める洒落たレストランで遅めの昼食を摂った。


いつもと変わらない様子で食事をするりおに安堵する。


明るい笑顔。
りおの微妙な変化は俺の勘違いだったのかと思えた。


勘違い、か。

ただ体調が悪かっただけか?



「……、奏さんったら」

「あ?」

「話聞いてた?これから遺跡を見に行くって」


わくわく顔をしたりおは楽しそうだ。

丸井の弔いを終え気持ちも切り替わったようだった。

「りおが気分が悪くないなら俺は構わない」

「うん、大丈夫。行きたい!」


遺跡をまわってから宿の椿館へと戻った。

屋敷にいる榊と電話で話して、

「りお?」

気がつくと、傍にいたはずのりおの姿がなかった。



「どこに行った?」


隣の仁の部屋にでも行ったのか?


荷物はある。
ひとりで旅館を出るわけはない。