成田が息をついた。
「着ろ」
エックス線を遮る重く分厚いものを頭から被る。
「写真、何枚か撮るからな。動かないでくれよ」
一枚、そして角度を変え一枚、また一枚。
血で辺りが汚れても構わずにレントゲンを撮っていく。
「ん〜」
出来上がった写真を見て成田が眉を潜めて唸った。
「成田どうだ?」
「奏、やっぱり厄介だな」
―――厄介
「どんな感じだ?」
予想はしていたが、成田の口から聞かされると重く感じた。
「ちょうど肘の部分に弾が当たり骨が砕けたんだな」
「……砕けた?」
同時に彼女の顔を見る。
息を飲む彼女の瞳が揺れた。
「これから手術する。そうだな、時間は一時間半くらい」
「………」
「あっ、と。その前に今度はその右の指を診せてくれ」
血だらけのハンカチを静かに外す。



