「い、たっ」
フルフルと首を振って拒否する彼女からもう脱がせられないと判断して、成田を見た。
「成田。服を脱がせるのは無理だ。ハサミを貸してくれ」
顔を覗き込む。
青ざめた頬にもうこれ以上の無理をさせたくなかった。
「制服は弁償するから悪いがハサミを入れるぞ」
彼女がコクンと頷いた。
「成田、ハサミだ」
「奏、身を切るなよ」
先の尖ったハサミを手渡して成田が冗談を口にした。
「笑えねえ冗談だな」
「まあな」
光るハサミを持ち肩からザクッザクッと制服にハサミを入れていく。
彼女を傷つけないように慎重に袖に向かって切っていく。
パンパンになってる肘のあたりを過ぎ、袖口まで切り終えた。
ワイシャツも肩から袖まで切り露になった肘を見る。
「………」
細い手足に相応しくないほど腫れ上がった肘。
すでに色が紫色に変わり骨に異常があったとすぐにわかる。
息をするのも忘れる。



