―――丸井



起きろよ。

娘の眠ってる田舎へ行って、畑を作ってのんびり暮らすんだろう?



―――丸井



目を開けろよ。

春には桜が咲き誇る見事な道を歩くんだろう?

このヤクザな世界とは違う穏やかなところでのんびりと暮らすんだろう?




「丸井!!!!!」


叫べど、丸井は目を閉じたまま開くことはなかった。




「……若、成田が今到着しました」


急ぎ仕事を切り上げてきた成田が息を切らして駆け込んできた。


「……間に合わなかったか」

「ああ、」


頷くと、成田が息を整えて俺の隣に並んで丸井に手を合わせた。


「処置してもいいか?」

「……ああ」


成田が手術しても二発の銃弾を背中に浴びた丸井は助からなかっただろう。

一発は肺を撃ち抜いてた。